こんにちは。「花束冒険ことりの」です。
今回は、春から始まった藁細工クラブの初回体験についてご紹介したいと思います。
じつはこのクラブ、新規で入会できるのは毎年ほんの数名だけ。
ありがたいことに、わたしはその“狭き門”をくぐることができました。
そんな貴重なご縁に感謝を込めて、初日の様子をつづってみます。
クラブ初日、藁の香りと“熟練の空気”に包まれて
会場に一歩足を踏み入れた瞬間、ふんわりと広がるわらの香り。
そして目に飛び込んできたのは、わらを自在に扱うベテランの方々の姿でした。
参加者は20名以上。ほとんどが前年度からの継続者で、中には10年以上続けているという方もいらっしゃいました。
並びも印象的で、入り口付近にわたしたち新1年生が3人、次に2年目の方々、そして奥には大ベテランたちが陣取っていました。
その空間全体に、積み重ねられた時間と経験が静かに漂っていたのです。
まさかのスタート…縄ができない!?
さて、わたしたち新人は、まず先生に「縄ない」の基本を教えていただきました。
が、しかし……
わたしの縄、どうやっても「縄」にならないのです!
見よう見まねでやっているつもりなのに、どうしてもよれない。
「どこをどうよってるの?」と、自分でもわからなくなってしまい、部分ばかりに目がいって、全体の流れがつかめず……。
気づけば頭の中が真っ白になっていました。
助けられて気づいた、意外な背景
そんな中、ふと隣の新人さんたちの手元を見ると……なんと、ちゃんと縄ができているではありませんか!
しかも動きが自然で、先生の手さばきをすぐに再現しているよう。
驚いて話を聞いてみると、
- 実家が農家で、子どものころから縄ないを見て育った方
- 独学で縄ないを練習してきた方
だったのです。なるほど、全くの“初めて”ではなかったのですね。
しかも、わざわざ県外から通ってきていると聞き、その熱意にも感服しました。
そしてそんなお二人が、わたしにも丁寧にコツを教えてくれて……。
やさしさが心に染みました。
「できた!」縄ないの世界に一歩踏み込んだ瞬間
それから10分後。
ついに、わたしは「縄になる」感覚をつかむことができました!
その瞬間、それまで存在していた「できない」という選択肢が、まるで霧のようにふっと消えていったのです。
わたしは「縄ができる世界」に、静かに招かれた気がしました。
そこから約4時間、無心で手を動かし続け、気づけば6mの縄が完成していました。
痛みと達成感、両方が手に残った
作業の終わりごろ、ふと手のひらを見ると、じんわりと血がにじんでいました。
開始前に隣の2年目の方が言っていた
「バンソウコウ、かかせなくなるわよ」
という言葉の意味が、ようやく身にしみてわかりました。
右足で縄を押さえてよっていく動作、両手のひらがすべすべになっていく感覚。
まさに、全身で味わう体験でした。
”縄ないの奥深さ”のおさらい
縄ないの基本的な流れは、以下のようなものです。
- 稲わらを選りすぐる
- 水に浸して柔らかくする
- 木づちで叩いてしなやかにする
- よる(ねじる)
- 縄から飛び出たわらを切る
- わらクズで縄をしごいて磨く
作業の一つひとつに、自然のリズムと人の知恵が感じられます。
手の痛みですら愛おしく感じられる、そんな尊い時間でした。
おわりに|続ける意味がここにある
伝統的な手仕事の世界には、一歩踏み入れると終わりのない奥深さがあります。
けれど、だからこそ、続けることに意味があるのだと思います。
そんな世界に、今年からご縁をいただけたことが、わたしにとって大きな喜びです。
次回また、わらと向き合う時間を楽しみにしながら、一歩ずつ、この世界を進んでいきたいと思います。